メダカとベランダ暮らし

マンションの半日陰ベランダで、メダカを育てたりガーデニングに勤しんだりしています。

メダカの飼いかた

メダカは最高の癒し

メダカブームが話題になり久しい今日この頃。メダカの良いところは、飼育および繁殖が比較的容易なところです。基本的なことに気を付けて可愛がってあげれば、元気に何世代にも渡って楽しませてくれます。この記事では、ベランダでメダカを飼育する方法を説明しています。

※室内で水槽で飼育する場合は要領が異なるのでご注意ください。

メダカビオトープ

 

メダカについて

メダカは日本原産であり国内最小の淡水魚で、とても身近な生物なのですが、田んぼの減少や用水路の護岸工事などのため、いまや在来種の野生メダカは絶滅危惧種

基本的に丈夫な魚です。水質は弱酸性から弱アルカリ性、軟水から中程度の硬水に幅広く適用します。水温も日本の気候に適応しており、氷が張る温度でも越冬でき、30℃ぐらいの高水温にも耐えます。寿命は平均で2年ほど。「目高」(めだか)の名前の通り目が上部に付いており、水面に浮かぶものを捕食することに長けています。飼育されるのは品種改良されたものが多いです。一般的に販売されているメダカは以下の通り。

■黒メダカ:

いわゆる原種に近いものです。野趣溢れます。デメキンのように真っ黒のものは品種改良されたものなので黒メダカとは呼びません。

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■緋メダカ:

薄い橙色をしたメダカで最も一般的で安価。江戸時代から親しまれていました。熱帯魚用の生餌として売られていることもあります。

■白メダカ:

真っ白いメダカです。こちらも江戸時代から親しまれていました。

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■青メダカ:

灰色に近いですが、光加減によっては青みがかって見えます。

楊貴妃メダカ:

ヒメダカの体色を濃くしたもので、朱色に近い橙色です。

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■幹之(みゆき)メダカ:

背中に光沢を持つ品種。比較的新しい品種ですが、とても人気があります。

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■ 改良メダカについて

個人的には人間の都合で品種改良したものを「改良」というのは嫌いなんですが、上述の幹之メダカなどをベースに様々な品種の固定化が試みられています。メダカブームも相俟って、一般人でも交配を手掛ける人が増え、まさに乱立といった趣。品種によっては1匹100万円の値が付くこともあります。

まるで錦鯉のような色のバリエーションや、メダカとは思えない形状など。写真を見ていると惹かれるのですが、繁殖すると特徴が引き継がれないことも多いですし、一般的なメダカに比べて飼育難易度は高めです。まずは一般的な品種から始められることをお勧めします。

 

基礎知識

メダカはエサを食べると糞をします。これが有害なアンモニアとなるのですが、水の中にいるバクテリアがこれを分解し、亜硝酸塩⇒硝酸塩にします。最終的には硝酸塩を水草が吸収してくれます。

ビオトープの構造

まさに自然界の循環環境です。飼育においても、このサイクルが完成されている場合、ほぼ放置で育てることができます。まずはこれを頭に入れてください。このサイクルがどこかでバランスが崩れると、水質が悪化してメダカの健康を阻害することになります。

  

 飼育に必要なもの

 容器

こちらの記事で詳しく説明しています。ベランダ飼育だと、個人的な一押しは睡蓮鉢かプランターですね。特に強調したいポイントは、とにかく大容量であることです。メダカは丈夫なのでペットボトルでも飼育できちゃいますが、少量の水だと飼育難易度が上がります。

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底砂

底に敷く砂です。上述したバクテリアが底砂に多く発生しますので、あると無いとでは、水の安定度合がまったく違います。一口に底砂と言っても色々な種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。

■砂利系:

大磯砂や川砂といったもので、小型の石だと思ってください。最大のメリットは洗って繰り返し使えること。水質への寄与度という意味では後述のソイルや赤玉土には負けますが、その分メンテナンスは容易です。大磯砂など海で採取されるものは貝殻が含まれることがあるため、水質がアルカリ性に傾くことがありますが、メダカには問題ありません。

■ソイル系:

土を焼成して粒状に固めたものです。アクアリウムでは主流ですね。ソイル自身に養分を蓄えるため、水草を植えるのであればとても相性が良いです。また、細孔が不純物を吸着するため水が澄みます。ただし、ずっと使っていると効果が無くなりますし、洗うと崩れてしまうので再利用しづらいのが難点。洗わずに使える商品が非常に便利です。

赤玉土

上述のソイルに近いですが、園芸用として市販されているものなので、値段はグッとお買い得です。大きな容器で大量の土が必要なときは、強い味方になってくれるでしょう。機能的にはソイルと大体同じと思ってください。水を入れたときの濁りはこちらの方が多いように思いますが、そのうち落ち着いてきます。

■ 荒木田土:

聞きなれない名前ですが、いわゆる「田んぼの土」です。自然界と言っていいのか分かりませんが、野生のメダカの多くは田んぼに生息しています。英語でRice fishというぐらいです。蓮や睡蓮を植えるには最高なのですが、その場合は主役は植物または微生物になります。このブログのテーマであるベランダでの使用は正直ハードルが高いです。メンテナンスの難易度が高く、本来の機能を引き出すには広大な敷地で本当の意味でのビオトープ(生態系が確立している)を再現するぐらいの気合が無いと難しいです。お勧めしません。

 

水草

実はかなり重要なのが水草。前述の通り、亜硝酸塩を吸収してくれるので、水質維持には必須なのです。また、隠れ家や産卵にも使われます。ちゃんと水草が機能していれば、ほぼ放置で水質が維持されます。初心者の方でも育てやすいオススメの水草は以下になります。

アナカリス

米原産の 帰化植物です。旺盛に伸びるので、放っておくとメダカが泳ぐスペースが無くなります。冬は成長が止まりますが初夏になると成長を再開します。

ホテイアオイ

米原産。特定外来種に指定されているほど頑強。水に浮かべるだけでOKなので非常に簡単。そして水質浄化作用が高いです。冬になると枯れてしまうので毎年仕入れる必要があります。

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■ナガバオモダカ

 こちらは北米原産。植木鉢ごと沈めますが、ランナーと呼ばれる地下茎を伸ばして成長するので数年経つとびっしりと繁茂します。メダカの泳ぐスペースを圧迫しませんし、葉っぱの隙間をスイスイと泳ぐ姿を見るのは眼福です。

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バケツ

 水を汲み置きしたり、掃除のときの避難場所に使います。できるだけ大きなものにしましょう。注ぎ口が少し湾曲しているタイプがあると、バケツから別の容器に直接注ぐときに便利です。

 

エサ

色々ありますが、個人的にはテトラキリミンが最強だと思っています。稚魚用にはベビー用のものを。

テトラ キリミン85g

塩素中和剤

汲み置きする時間が無い場合、水道水に添加することで、水生生物にとって有毒な塩素を中和します。ある年代以上の方は、氷砂糖みたいな固形の「カルキ抜き」がお馴染みだと思いますが、液体の方が手っ取り早いです。

水質検査試験紙

pH(ペーハー)や硬度、それに前述した硝酸塩濃度などを測れる試験紙があります。メダカの調子が悪いときは見た目だけでなくこういうものでもチェックしましょう。

 

コンパニオン動物

 メダカだけでも勿論いいのですが、餌の食べ残しを処理してくれたりコケを食べてくれる同居人がいると非常に便利です。同居に適した子達は、ずばりミナミヌマエビと貝類です。ミナミヌマエビは繁殖するので、いつのまにか増えている…なんてことも。貝は繁殖するタイプと汽水(海水が混じった淡水)でしか孵化しないものがいます。

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貝については購入した水草に卵が付着しており、意図せず持ち込まれることがあります。大抵サカマキガイなどの種類ですが、それらは恐ろしい勢いで繁殖して美観を損ねるので、スネイルといって忌避される傾向があります。

 

 飼育に不要なもの

 あえてこう書きましたが、あってもいいけど無くてもいいものをまとめてみました。(あくまで経験に基づく個人の意見です)

濾過器

特に小さい容器で濾過機を使うと、水流が発生してメダカの負担になります。特に小さな個体は弱ってしまうので、濾過機に頼らない方がいいです。

エアーフィルター

無くてもまったく問題ありません。金魚等と違い、適切な数を飼育していれば、よほどのことでないと酸欠になりません。

バクテリア剤、PSB

有害物質を分解するバクテリアを強制的に添加するものです。初心者のかたはこのようなものに頼らず、地道に水作りをすることをお勧めします。屋外に置いておけば自然にバクテリアは発生します。

メダカを掬う網です。必需品のように思われますが、網で絡めて掬い上げるのはメダカにとってストレス。私はいつもプチトマトが入っているような透明のプラケースを使って水ごと掬っています。透明だと気付かれずに掬いやすいです。

 

セット

底砂の用意

■砂利:

砂利を使う場合は、セットする前によく洗ってください。お米を研ぐ要領ですが、中々しぶといので、完全に水が澄むまで何度も流します。15分は覚悟しましょう。ここをサボると、後々後悔します。

■ソイル:

洗浄が必要なものは軽く水で流してください。強く押すとつぶれてしまうので、あくまで砂や浮いてくる濁りを取り除く感覚で。

赤玉土

まずふるいにかけるなどして細かい砂を除去します。そのあとはソイル同様軽く水を流し、濁らなくなるまでそそいでください。

■荒木田土:

基本何もしません。そのまま容器に敷き詰めてください。

注水

汲み置きがあればいいですが、そんなに大量に用意できないと思いますので、水道水でOKです。砂利はいいのですが、他の底砂は直接水を注ぐと濁りが激しくなります。苺のプラパックでも何でもいいので、そこに水を当てるようにして砂が舞わないようにしてください。

赤玉土などの場合、頑張っても多少は濁りますが、1日ほど静置すると沈殿して澄みますので慌てなくても大丈夫です。

注水

植物や岩のレイアウト

ここが一番楽しいポイントですので、思いのままにレイアウトしてください。底砂に直接植えることもできますが、難易度が高いので、ポットのものをそのまま設置していくのがお勧めです。浮草系は適当に浮かばせておきます。

睡蓮鉢レイアウト

最初はどうしても貧相に見えがちですが、植物は育つので刻一刻と変化していきます。その変化も楽しみましょう。

レイアウト完成

馴染んでくると、このように良い感じになってきます。

馴染んできたころ

放置

ここが重要です。レイアウトしてすぐに生体を入れたくなりますが、我慢しましょう。セットしたての環境はバクテリアも定着しておらず、実は良い環境ではありません。グッとこらえて最低1週間ほど放置しましょう。その間に塩素も飛びます。

事情があってどうしてもすぐに生体を入れないといけない場合は、適量の塩素中和剤で水道水を無毒化してください。

生体の投入

メダカは丈夫なので多少のショックは絶えますが、購入してから輸送される環境などで既にストレスがマックスになっていることが多いです。袋のまま10分ほど水に浮かべ、温度が均一になってから静かに入れてあげてください。

※もしミナミヌマエビを一緒に入れる場合は更に水質の変化に対して神経質です。pHが変わると簡単にお亡くなりになってしまうので、少しずつ水を混ぜ合わせる「水合わせ」を必ず実施しましょう。1時間ぐらいかけます。

 

エサやり

市販のエサの説明には「数分で食べる量を与えること」とよく書いていますが、個人的には賛成しかねます。食べ残しが無いように一瞬で食べ終わる量を少しずつ与えて様子を見ながら調整していくほうが良いです。水温や体調により食欲が異なるので、同じ要領でやるとエサが残って水質悪化の原因になるためです。屋外で飼育していると虫やプランクトンが自然にわくので、一日一回でOKです。また、数日エサを抜いても問題ありません。(ただし普段からきちんと給餌できていること)

水温が15℃を下回ると食欲がグンと落ちるので与えないようにしましょう。これも個体差があるので、少量ずつ与えて様子を見るのが肝要です。冬の間は一切エサを与えなくても大丈夫です。

 

水替え

夏~秋:

水草が繁茂して、水が澄んでいるような状態の場合は基本的に放置で問題ありません。その代わり水が蒸発して目減りするので、シャワータイプのジョウロで足し水をしてあげましょう。特に夏場はあっという間に水量が減るので注意。

ジョウロで足し水

 春

春先は一番難しい季節です。水温が上がりメダカの食欲が出てくるのですが、植物の生長が追いついていないので、エサを与えてると中々有害物質が吸収されず、水質が富栄養化しがちです。

私は川砂を入れている睡蓮鉢を年に一度だけ大掃除しています。ただし大掃除をするとバクテリアがリセットされてしまうため一時的に分解能力が落ちます。安定するまでエサは控えめに与えましょう。

 

 産卵と稚魚育成

メダカの楽しみの一つはやはり繁殖。健康で雌雄が要る場合、初夏になってくると毎日のように産卵してくれます。ただし、放っておくと稚魚は親に食べられてしまうので、水草に産み付けられた卵を回収して別の容器で育てるのが確実です。

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オスとメスはヒレの形状で見分けることができますが、水槽で飼っていないと識別は困難です。上から見た場合でも慣れてくると見分けることができると思います。卵を持っているのがメスで、すこしふっくらした体形です。オスは細身で神経質な印象。当然のことながらオスとメスがいないと産卵しませんが、5~6匹いれば確率的に混ざっているので、そこまで神経質にペアリングを気にしなくても大丈夫だと思います。

 

病気と対策

色々な病気がありますが、私が飼っていて経験したものを以下にまとめました。病気が頻発する場合は、水質や飼育数などに何らかの問題があります。日々の観察が重要なので、変化を見逃さないようにしましょう。

  • 過抱卵:
    年頃のメスが産卵できずにお腹がパンパンになる状態です。オスが不甲斐無い、交尾しづらい体形であるなどの理由があります。放っておくとお腹が破裂することも…。過抱卵の個体を掬って肛門部分を筆で刺激すると産卵が誘発されるなどのTIPSがあるようですが、成功率は残念ながら高くありません。オスを投入する対応もあります。
  • やせ細り病:
    そのままの名前ですが、明らかに細く痩せてしまうことがあります。放置すると弱って死に至ります。残念ながら原因は分からず確実な治療は難しいですが、環境の良いところに隔離して気長に世話をすると復活することもあります。
  • ポップアイ:
    眼球が突出する病気です。常在菌であるエロモナス菌により発症しますが、抵抗力が落ちた個体が罹患するようです。初期で発見して隔離し、0.5%程度の塩水で塩浴させると治ったことがあります。
  • 立ち泳ぎ病:
    頭を上にして直立したような形で頼りなく泳ぎます。根本的な治療法はありません。この病気が出るということは、相当水質が悪化していると思われます。

 

最後に

いかがでしたか?メダカはとても小さい生き物ですが、よく観察するとそこで世界が形成されており、箱庭を見ているようで飽きません。色々書きましたが、一番大事なのは生き物を慈しむ心です。最後まで責任を持って可愛がってあげましょう。

ベランダでメダカ

注意!
手に負えなくなったからといって絶対に外に放流したり捨てたりしないでください。メダカの原種は絶滅危惧種なので、品種を放流すると在来種がいなくなってしまいます。また、帰化植物の多くは在来の植物を駆逐して蔓延るのでキッチリと処分してください。

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